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「すみません、もう大丈夫です。」


翼くんに担がれ、青ざめていた私を心配してくれている青空先輩にそう言って笑う。
まだ気持ち悪いけど、いつまでも私に付き添わせてお仕事の邪魔はできない。


「ですが、まだ少し顔色が……。」

「これくらいしばらく休めば治りますし、青空先輩は生徒会の方がんばってください。」


そう言えば、まだ納得してくれなさそうな顔をしながらも「酷いようならちゃんと言ってくださいね。」って優しい言葉を残してお仕事に戻った。
ちなみにこうなった原因の翼くんは、青空先輩の黒板に沈んだ。
ついでに会長さんも。


「…………。」


暇だ。
翼くんも会長さんも動く気配がないし、かと言って青空先輩に構ってなんて言えない。
生憎、今日は提出する予定の課題もない。
んー……仕方ない、予習とか復習でもするか。


「青空先輩、」

「はい、どうかしましたか?」

「あの、予習とか復習とかしたいのですが、」

「あぁ……ならそこの席をどうぞ。」


キレイな笑顔を浮かべて向かいの席に進めてくれた。
お礼を言ってそこに座りカバンの中から教科書とかを出す。
何からしようかな。


「ぬぬ……瑞紀、勉強するのか?」

「あっ、翼くん気付いたの?」

「うぬ……。」


後ろからぎゅーっと抱きしめられ、振り向こうにも振り向けず。
とりあえずすりすり甘えてくる翼くんの頭を撫でれば、より一層甘えてくる。
ものすごくかわいい。


「翼くん?
瑞紀さんは今から勉強するんですよ?」

「ぬ……そらそら、笑顔が怖いのだ…。」

「瑞紀、さん…。」


ぽつりと青空先輩の言葉を復唱すれば、無意識だったのかばつが悪そうな顔をする青空先輩。
慌てて何か言おうとしたけど、それより先に青空先輩が言葉を紡いだ。


「すみません、つい月子さんや翼くんたちのように下の名前で呼んでしまいました。」

「あ、いえっ……あの、瑞紀って呼んでもらって大丈夫です!」

「そうですか?
なら僕のことも下の名前でお願いしますね。」


にっこり。
笑ってるのに、妙な圧力が青空先輩改め颯斗先輩から滲み出ていて。
この人には逆らってはいけないと、心の底から思った。





(「ふふ、改めましてよろしくお願いします、瑞紀さん。」)
(「はっ、はい! こちらこそよろしくお願いします、颯斗先輩!」)




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