「あ、梓先輩。」
ロードワークをしていると、ばったり未宇ちゃんに会った。
あんまり仲がいいってわけじゃないけど、お互いに嫌悪感は抱いてない(と思う)し、翼の件もあって以前より話すようになったと思う。
「ロードワークですか?
お疲れさまです。」
「ありがと。
君も大変だね、翼の相手とか。」
「そうですか?」
あんなにべったりなんだし多少は苦労してるだろうと思って言えば、首を傾げられた。
純粋にわかってないであろうリアクションに、ひくりと口角が引き攣った気がする。
「翼く、翼先輩は、いい人ですよ?」
「……あぁ、そう。」
やっぱり、この子も翼と同種の人間だ。
きっと、周りが疲れるタイプのカップルになるなこれは。
そう思ったものの、少しは外れてほしいという願いはあった。
結果から言えば無残にも砕けたけど。
(彼氏が彼氏なら、彼女も彼女。)
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