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「ねぇ、君。」

「っわ!」


放課後、1人で図書館を出ると知らない上級生に囲まれた。
わぁ、背が高ーい。
梓くん見慣れてるからかな、ぷくく。


「君、かわいいよね。」

「別にそんなことないですよー。」

「いやいや、謙遜しなくていいって!」

「そうそう!」


イヤーな予感はするものの、とりあえず温和にいきたいから必死に頭を使うけど、私の武器は笑顔と嘘だけ。
水鉄砲で戦場に赴くようなものだ。


「ねぇ、今から俺たちとイイコトしない?」

「すみません、今から帰って録画したドラマみたいんです。」

「そんなのいつでも見れるじゃん?」

「いえ、もう先週から続きが気になって仕方ないんですよー。」


とりあえず嘘をついてみるけど、やはりというか威力が足りない。
あまりおっきな嘘は後々また同じことをされたり逆上されたときに面倒だから言いたくない。

さぁ、困った。
どうしようかなー。


「ね、いいだろ?」

「いやいや、ドラマがみたいんですってばー。」

「強情だな。」

「えー、先輩方には負けますねー。」

「んだと、こら!」


あら、地雷踏んじゃった感じ?
やだなー、梓くんならこんなときも冷静なのに。


「もういい、連れてこうぜ!」

「わわっ、痛いですよ、もっと優しくしてくださいよー」


怖くて仕方ないけど、それを出せば負けた気分だから隠して軽口を言う。
やだやだ、誰か助けてくれないかな。
まぁ、私なんかを助けてくれる人なんていないよね。





(「俺、強気な子は好きだよ?」)
(「その強気、どこまで続くか楽しみだな。」)




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