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「柚希ちゃん!」

「柚希!」

「あ、月子ちゃん、哉太も!」


一樹さんに連れられたのは食堂で。
そこにいたのは月子ちゃんと哉太で。
聞けば東月くんも厨房にいるんだとか。


「お前、もう大丈夫なのか?!」

「うん、ほぼ完治なんだって。」

「そっか、よかった!」


そう言って笑顔を見せてくれた2人にじんと胸が熱くなる。
私、ほんと幸せ者だ。


「次は哉太の番だね!」

「あぁ、俺も治してやるよ。」

「うん、哉太なら大丈夫だよ。」

「おぅ!」


照れたように、でも嬉しそうに笑う哉太。
ちょうどその時だった。


「騒がしいなーと思えばもうきてたのか。」

「東月くん。」

「おめでと、吉岡さん。
これ俺からのお祝い。」

「わ、すご…!」


厨房から出てきた東月くんが持っていたケーキにびっくりした。
料理が上手かったのは知ってたけど……これほどだったのか。


「不知火先輩もいりますか?」

「いいのか?」

「構いませんよ。」

「じゃあ、邪魔させてもらう。」

「よーし、じゃあ準備しよ!」

「はいはい、哉太も手伝えよ?」

「わかってるって!」


うーん、相変わらずお母さんだな、東月くん。
変わらないみんなの様子にいつの間にか笑顔になっていて。


「ほら、柚希はここ座っとけ。」

「え、ちょ、私も手伝いますよ?!」

「ダーメ、吉岡さんのためのやつなんだから、不知火先輩の言う通りに座ってて。」

「と、東月くんまで、」


有無を言わせない東月くんに、苦笑しながら座らせてもらう。
申し訳ないけど、言うこと聞かなきゃダメなんだろうなぁ。

楽しそうに準備するみんなを見る。
私のためにやってくれてるみんなの笑顔をみていると胸がいっぱいになった。


「柚希?」

「一樹、さん。」

「どうした?」


準備が終わったのか、それぞれ席につくみんな。
私の隣に座った一樹さんが、首を傾げながら私を見つめる。


「ううん、私のためにこんなにしてくれたのが嬉しくて。」

「何言ってんだ!」

「そうだよ、私たち柚希ちゃんの友だちなんだから当然だよ!」

「そういうこった、よかったな、柚希。」


がしがしと頭を撫でる一樹さん。
友だちって言葉にまだくすぐったさを覚える。
でもあったかい気持ちにしてくれるこの人たち、ここにはいないけど私を支えてくれてる人たち。
せっかく与えてもらった未来を、そんな人たちのために費やしたいと思った。



この命が尽きるまで
(みんなに精一杯の“ありがとう”を。)


-fin-



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