泣き出した柚希は、差し出した俺の手を叩いた。 泣かせたかったわけじゃないのに、あぁくそ。
「なぁ、柚希。」
「っ、く……ふ、」
「俺は柚希と生きたい。 これからもずっとだ。」
泣きじゃくる柚希を抱きしめて言えば、弱々しく俺の服を握る柚希。 それはお前なりの返事だと思っていいのか?
「確かにお前の病気は、確実にお前の体を蝕んでいってる。 だけど、お前はそれを甘んじて受け入れていいのか?」
「ったし、は、」
いつの間にか涙はとまったみたいで、多少ぐすぐす言ってはいるもののちゃんと喋れるみたいだ。 俺は一言も聞き漏らさないように耳を澄ませる。
「ったしも、生きたい。 一樹、さんと、生きたいよ…っ!」
やっと吐き出した柚希の気持ち。 いつもどこか無気力で、そのくせ元気なフリするこいつの心の叫びを、こうしてきちんと聞いたのは初めてだった。
「大丈夫だ、お前の道はまだ閉ざされたわけじゃない。」
「え…?」
「もうちょっとだけがんばれ。 そしたらまた、一緒に星見ようぜ。」
そう言って柚希の唇を塞ぐ。 大人しく受け止める柚希が愛しいと思った。 絶対、離してなんかやるもんか。
(「さっきのって…?」) (「明日になればわかる。 さ、もう帰ろうぜ、疲れただろ?」) (「ちょっ、待っ!」)
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