いきなり泣き出した柚希に慌てた。 頭を撫でてみたりしても泣き止む気配はなく、俺はパニック状態。
「っ、会長、」
意を決したのか、ようやく口を開いた柚希。 俺は少し、体が強張ったのを感じた。
「ダメ、です。」
「は…?」
「会長は、わた、しを好きとか、言っちゃダメ、ですっ…!」
嗚咽で途切れ途切れのセリフに、頭がフリーズ。 何を言われたのかわからなくて、かなり間抜けな顔をしていたと思う。 それだけ、ショックだった。
「なんでだよ!」
「っきゃ…!」
固まった思考が動き出した途端、カッと血がのぼった気がして。 俺は柚希の両肩を掴んで叫んでいた。 柚希が驚いた顔をしてるけど、そんなの気にする余裕なんてない。
どうして俺の気持ちが拒否されなきゃいけない? しかも「私を好きとか言っちゃダメ」って、ふざけるな。 俺が求めたのは“柚希の気持ち”なのに。
「っ、会長は!」
「!」
「会長は何も知らないからっ!」
俺の怒鳴り声に涙が引っ込んだのか、かなり強気に出てくる柚希。 胸倉を精一杯握りしめながら俺に叫ぶ。
「私は! 会長たちみたいに、時間がないんです!」
「……は?」
時間? いきなり出てきた単語に素っ頓狂な声が漏れる。 柚希はしまったって顔をしながら、その場にへたり込み、観念したように柚希はぽつりぽつりと呟いた。
(「………聞いてほしいことが、あるんです。」) (「あぁ。」) (「私、実は、」)
- 1 - *PREV|NEXT#
|