「こんにちは。」
呼び出された通りに生徒会室に行けば、どっかりと会長のイスに座った会長。 なんか重々しいオーラを漂わせてる会長に、そんなにたくさん仕事を溜め込んでたのかとため息をつきそうになった。
「会長、どうしていつもいつもいつもいつもギリギリまで仕事をため、」
「柚希。」
「なんですか。」
小言くらい言ってやろうとしたのに、途中で遮られた。 少しムッとしながら、仕事を取りに会長の元まで行くと、何故かイスから立ち上がる会長。
「ちょっと会ちょ、」
グッと腕を引っ張られ、そのまま会長に抱き寄せられた。 改めて会長との身長差を感じて、なんだか少し落ち着かない。 というか、なんでこうなったの。
「……聞いてほしいことがあるんだ。」
「な……なんですか。」
掠れたような声に、どきどきする。 それにあまりにも近すぎる距離に頭がくらくらして、思わず会長の服を少し掴む。
「お前……そういうかわいいことすんなって。」
「えぇ?!」
ぎゅっと強く抱きしめられて頭が混乱する。 え、会長、わざわざ呼び出して聞いてほしいことがそれって、どんな反応すればいいの。
「って、話がそれた。」
「え? 今のが本題じゃないんですか?」
「違ぇよ! ……その、アレだ。」
いきなりもごもごしだす会長。 会長の意図が読めず、首を傾げた。
「……会長?」
「っ、だから!」
少しだけ体を離して、会長の顔を覗く。 真っ赤に染まった顔が見えて固まったとき、グッと後頭部に手を添えられてまた抱きしめられる。 なんとなく先が予想できてしまって、嬉しいと思う反面、言ってほしくないと思ってしまう。 そう考えてる間に、会長はその爆弾を投下した。
「っ、好きだ、柚希。」
ガラガラと、何かが崩れる音。 それから、あのときの哉太のセリフ。
“見守ることしかできない。”
涙が、こぼれた。
(「ちょっ、な、なんで泣くんだ?!」)
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