「柚希ちゃん。」
「あ、月子ちゃん。」
放課後。 生徒会室に行けば、黙々と作業をこなす柚希ちゃんがいた。 会長とのことは吹っ切れたのか忘れたのか。 前みたいに逃げ出さなくなった柚希ちゃんに一安心。 柚希ちゃんがいないと、私もそうだけど主に会長がちゃんとしてくれないしね。
「月子ちゃん、部活の方はどう?」
「んー……まぁまぁ、かな? まだまだがんばれるとは思うんだけどね。」
「そっか……がんばってね、応援してる。」
笑ってくれた柚希ちゃんにちょっと違和感。 なんか、ムリしてる…?
「柚希ちゃん、なんかあった?」
「え?」
思わず呟いた言葉に、柚希ちゃんが少しだけ固まった。 やっぱり、なんかあったのかな。
「相談、乗るよ?」
「え、いや、別に、」
「でも1人で溜め込んでも仕方ないよ? もし私には言いにくいなら、ムリにとは言わないけど……。」
ズルい、ってわかってるけど、少ししゅんとした風に言う。 それを見て、慌てて手をバタバタさせる柚希ちゃんだけど、言う気配はなくて。
「ご、ごめんね、大丈夫だから、ありがとう。」
「……そう、でももし気が変わったら気軽に言ってね。」
ぎゅっと膝の上で手を握りしめ、俯きながら言う柚希ちゃんに、何も言えない。
まだ、私たちには壁があるのかな。 それが少しだけ、寂しかった。
(「さ、仕事しよ!」) (「うっ、うん!」) (「はやく2人とも来るといいね!」) (「うん、そうだね。」)
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