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いきなりの柚希の問いかけに、一瞬何を言えばいいかわからなかった。


“見守ることしかできない。”


確かにそう思ってる。
けど、違うと否定したいのも確かだった。

だから、柚希がそれを聞いてきたときに、柚希が望む答えだって言えたはずだった。
けど、言えなかった。


俺は俺があいつを幸せにしてやれる確率なんて、宝くじより低いと思ってるし、仕方ないって諦めてる部分がある。
諦めたら終わり、って誰かが言ってた気がするけど、俺に……俺たちにがんばるだけの時間があると思えない。
変な期待持たせて、後悔なんかさせたくない。

でもやっぱりそれは建て前で。
ほんとは俺自身、怖かったのかもしれない。

何かが変わっちまうとでも思ったんだろうか。
ただ、漠然と怖かった。


結局この選択がこれからにどう影響するのか、そのときの俺にはわからなかった。





(「あ、哉太!」)
(「月子。」)
(「哉太、授業はきちんと受けろって、」)
(「錫也、オカンみてぇなことばっか言ってると老けるぞ?」)
(「……哉太?」)




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