「よ、久しぶり。」
「哉太!」
いろんなことがごちゃまぜで、気分転換がてら屋上庭園でぼーっとしていたら、(サボりにきただろう)哉太と会った。 時間にすれば1週間ほどなのに、なんかほんとに久しぶりに感じて。
「隣、いいか?」
「うん、どうぞ。」
少し横に避ければ、どっかり座る哉太。 それから会わなかった間のこととか、いろいろ話した。
「あ、そういえば。」
「ん?」
「哉太って、月子ちゃんが好きなの?」
「ぶふっ!」
前々から思ってたことを口にする。 幼なじみだから、っていう贔屓目を引いても、哉太が月子ちゃんに向ける目はすごく優しい。
「な、な、なっ!」
「図星?」
「ばっ、ち、違ぇし!」
真っ赤な顔で否定されても、肯定としか受け取れない。 (本人は否定してるけど)私に似た境遇の哉太も、同じように誰かを思ってるってわかってちょっと安心した。
「じゃあ、もしもの話していい?」
「な、なんだよ。」
「……もし哉太に好きな人がいて、その人には未来があるとき、哉太はどうする?」
顔なんて見れないから、空をジッと見ながら言った。 私は哉太に何て言ってもらいたいんだろう。 それさえわからない問いかけに、哉太は少し黙っていたけど、不意に口を開いた。
「……俺は、見守ることしかできない。」
「哉太、」
「俺はそいつを幸せにしてやれねぇから、せめてそいつがいつも笑えるように……そいつを幸せにしてやれるヤツが現れるまで、俺の命が続く限り守りたい。」
そう言った哉太の顔が、見てもないのに浮かんできて。 ぎゅっと胸が痛くなる。
どうして、私たちには時間がないんだろう。
さっきから見上げてた空は憎たらしいくらいの青色で。 それと同時に、まるで私たちの心の涙みたいに濁ってみえた。
(「神さまっていないのかな。」) (「さぁな、いたとしても理不尽なヤツだな。」) (「……そうだね。」)
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