「……というわけだ。」
会長の言葉に何も言えない。
月子さんに至っては、固まってるくらいだ。
「会長……」
「なんだ、颯斗。」
「最低ですね。」
僕の言葉に、少し顔を歪める会長。
そんな様子に自然とため息が漏れる。
順序を守らなかったからこうなったんだと、きっと1番よくわかってるのは会長だから余計に厄介だ。
「会長は、」
「……なんだ。」
「柚希さんが好きなんですね。」
敢えて、疑問形にはしない。
会長くらい自制心の強い人だ、それなりの想いがあったと信じたい。
「あぁ、好きだよ。」
何とも言えない複雑そうな顔でそういう会長。
内容には安堵したけど、その表情が引っかかる。
でも月子さんはそれに気付いてないのか、会長に「じゃあなんで告白しなかったんですか!」って怒っている。
会長はそれに曖昧に答えると、そのまま校内巡回に行ってしまった。
(「会長にも、いろいろあるのでしょう。」)
(「そう、かなぁ…?」)
(「そうですよ、ですからこの話は当人同士に任せて、僕たちは仕事でもしましょう。」)
(「……はぁい。」)
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