イライラする。
「ちょっと会長、こっち教室じゃないですよ。」
「わかってる。」
柚希の手を引っ張り、生徒会室に向かう。 ほんとは教室に返すべきなんだろうけど、それは何故か癪だ。 大体、星月先生ならまだしもなんで七海にだけ言うんだ。 いや、まぁ確かに柚希にとったら七海には言いやすいんだろうけど、なんていうか、イヤなんだ。
俺にも話してほしい。 ツラさや悲しみを、分けてほしいんだ。
「……入れ。」
「……失礼します。」
俺の雰囲気に怒られた子どものように、素直に中に入る柚希。 こうやって疑いもせずに俺と2人きりになる柚希に、喜ぶべきなのか叱るべきなのか。
「会長、どうしたんですか?」
「………。」
ぴしゃんとドアを閉めて丁寧に鍵までかける。 さすがに不安になったのか俺に声をかける柚希だけど、俺は何も答えずに柚希の手を引っ張って、ソファーに座った。 ちなみに柚希は俺の膝の上。 抱きしめればすっぽり収まるそのサイズに安心感と少しの優越感。
「か、会長、ちちち近くないですか…?」
「……イヤか?」
「いや、イヤとかイヤじゃないとかじゃなくてですね、」
「照れてるのか?」
ニヤリと笑えば、元々赤かった顔が更に赤く染まった。 かわいらしい反応に、思わず額に唇を寄せる。 唇に重ねなかっただけ、俺を褒めてほしい。
「かっ、かいちょ…!」
「ん? もしかして唇にしてほしかったのか?」
「っ、」
理性を必死にかき集めて言えば、真っ赤に染まった顔を俺の胸に埋めた。 それだけでも充分かわいかったのに、柚希はとんでもないことをくぐっもった声で紡ぐ。
「会長、なら……いいです、よ。」
「っ、」
耳に届き、脳が理解した瞬間、俺は柚希を引き離してソファーに押し倒すと、真っ赤でびっくりした顔をしてるのにもお構いなしにキスした。 かぶりつくような荒々しいキスは、いつしか舌も入れて深くなっていく。
でも理性はまだ微妙に残ってたらしく、名残惜しくはあるけど離そうとした。 のに、柚希がそのタイミングで舌を絡めて必死に応えようとするから、俺たちは授業終了のチャイムが鳴るまでずっとキスし続けていた。
(「っかい…ちょ……」) (「(は、エロ……てか何このかわいさ…。)」)
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