なんとなく授業を受けたくない。 そう思ってサボるために屋上庭園に行けば、哉太がいた。
「哉太、サボり?」
「柚希もだろ?」
「ん……まぁ、そうだけど。」
ぽんぽんと横を叩く哉太に促されて、ベンチに座る。 わしゃわしゃ頭を撫でられるのが気持ちよくて、目を細めた。
「体調が悪い、ってわけじゃなさそうだな。」
「哉太もね。」
「おぅ。」
そう言ってクスクス笑った。 やっぱり哉太ってお兄ちゃんみたい。 そんなことを思いながら世間話をしていると、勢いよくドアが開いた。
目を向ければ、息を切らしながらもこっちを睨みつける会長の姿。
「お前ら……っ、」
「不知火先輩、こんちはっス!」
「会長、もしかしてサボりですか?」
「……お前らってヤツらは…!」
私たちの言葉にピキッと青筋を浮かべた会長は、ずかずか近寄ると「ばか者が!」と言って拳骨を食らわした。 私は痛いものの手加減してくれたようだけど、哉太は手加減なんかないらしく鈍い音がして目には涙が滲んでいる。 左右の力加減変えるとか器用だな、会長。
「授業サボってなにしてる!」
「会長もサボりじゃないですか。」
「お前たちがサボってるのが視えたんだ!」
「星詠みの使い方間違ってます。」
哉太が痛みに悶えてる間に、会長に文句を言う。 何て言うか、どこまでも保護者体質だよね、会長って。
「ほら、七海もいつまでも悶えてないで早く教室に戻れ。」
「ひ、ヒドいっス…!」
涙目になりながらも、会長には逆らえないのかお辞儀をして私の頭を撫でてから屋上庭園をあとにする。 なんだか、こうして頭撫でられるのって照れ臭いな。 そう思いながら触れた頭に手を当てる。
「……嬉しそうだな。」
「え?」
ぽつりと呟かれた言葉が聞こえなくて聞き返したら、なんでもねぇ!って言われて手を引かれた。 なんなんだ、一体。
(「あ、」) (「どうかしました?」) (「………。」) (「わっ、髪の毛ぐしゃぐしゃになるじゃないですか!」) (「行くぞ。」) (「ちょっと、引っ張らないでください!会長!」)
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