にこやかに手を振る金久保先輩に見送られ、私は白銀先輩と屋上庭園に向かった。
「まさか、柚希ちゃんからのお誘いがあるなんてねぇー。 一樹の言い付け破って大丈夫なのー?」
屋上庭園に着くなり、そう言ってパシャパシャ写真を撮る白銀先輩。 まぁ、隠し撮りされるよりマシか、とか思う私に少し悲しくなったのは内緒。
「今日はですね、昨日のお詫びに来たんです。」
「!」
「いきなり倒れてすみません。 それから事情も聞かされずに、きっと琥太郎ちゃんに何か言われたんですよね? それも重ねて、すみません。」
そう言って深々と頭を下げた。 わざと昨日のことについて触れなかったのは、きっとそういうことだろうと思う。 琥太郎ちゃんがしてくれたことが間違いだなんて思わないし、むしろこちらとしては助かってるけど。
「……柚希ちゃん、」
「あ、でも、事情は話せません。 白銀先輩は勘がいいのできっと気付いてると思いますが、そのまま触れないでいただけると嬉しいです。」
そう言って笑顔を作ったけど、きっと苦笑いだったと思う。 それでも白銀先輩はいつもみたいにくひひって笑って、“守秘義務は守るよ”って言ってくれた。
確かに変わってる先輩だとは思うけど、会長が言うほど警戒する相手ではない気がするなぁ、なんて。
(「俺、女の子には優しいんだよー?」) (「そうなんですか?」) (「そうなんですよー」)
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