「……えと、白銀先輩、いらっしゃいますか?」
次の日、私は2年の西洋占星術科の教室にきていた。 察しの通り、白銀先輩に会うため。 前に会長が学科を言っていたのを覚えててよかった。
「白銀…?」
「はい、赤くて長い髪の新聞部の部長さんなんですけど。」
「いや、それは知ってるけど。」
そう言ってニヤニヤしだす先輩が、少し気持ち悪い。 それにイヤな予感。
「あの?」
「白銀なんかより俺と一緒に、」
「何してるの?」
「「え?」」
私の腕を掴もうとした先輩の手首を、柔らかい、でも凛とした声と共に誰かが掴んだ。 私やその先輩は訳がわからず、間抜けな声を漏らしてその手を辿ると、先輩の顔色が悪くなっていく。
「か、金久保様…!」
「金久保、様?」
なんだなんだ、この人偉い人なの? 声の印象通り、柔らかくて芯の強い、そんなイメージのキレイな水色の髪の先輩、かな? ネクタイの色からして、2年生。
「金久保、様…?」
「あぁ、驚かせてごめんね? 僕は西洋占星術科2年の金久保誉。」
「あ、私は西洋占星術科1年の吉岡柚希です。」
「ふふ、噂は兼ね兼ね。 今日はどうしたの?」
そう言ってふんわり微笑む金久保先輩。 なんだか優しそうないい先輩っぽい。 私は白銀先輩に用事がある旨を伝えると、彼は快く呼んでくれた。
……というか、私の噂ってなんなんだろう。
(「くひひ、呼ばれて飛び出て」) (「桜士郎?」) (「最後まで言わせてよ、誉ちゃーん。」)
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