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「どぉもー。」

「わっ!」


学校の廊下を歩いていると、ぬっと赤い髪のゴーグルの人が現れた。
びっくりして目をぱちぱちさせてると、怪しい者じゃないよーなんていかにもなことを言う……先輩、かな?


「俺、白銀桜士郎って言うんだけどぉー」

「桜、士郎?」

「ん?知ってるのかな?
くひひ、光栄だなぁ。」

「いえ、会長が前に気をつけろって……ということでそれでは。」


確か自他共に認める変態だかなんだからしい。
会長いわく、私は狙われてるらしく見かけたら逃げろ、って言われてる。
とりあえず失礼だから断ってから早歩きで去ろうとした、けど叶わなかった。


「……あの?」

「くひひ、意外と足速いんだねぇー、メモメモっと。」


早足で追いつき、しかもスピードを緩めずに何かメモしだす始末。
さすがに少し怖い。


「ちょこっとお話するだけだよー?」

「ですが、会長に逃げろと言われてるので。」

「一樹め、先手を打ったのか…!」

「ほんと今度こそ、さようなら!」


ダッと走り去る。
ほんとはあんまり走っちゃダメなんだけど、仕方ないよね。
そんなことを思いながら全力疾走すること十数分頃、私は自分を呪いたくなった。


「っ、ぐっ…!」

「? 柚希ちゃん?」


なんだかんだ体力があるのか、それともただ単に私が遅いのか、ぴったりくっついてた白銀先輩が私の異変に気付いたのか不思議そうな声を出す。
私は不自然に騒いだ胸を押さえて、それでも必死に足を動かした。
それでもどんどん酸素がなくなるような感覚がして、走れるような状態じゃなくなってくる。
ヤバい、と思ったとき私はもうすでに意識を手放す瞬間だった。





(「えっ、ちょっ…!」)
(「っ、おい、どけ!」)




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