「え、っと?」
どでん、と会長の机に積まれた書類。 どうやら、今まで会長は自分の仕事をせずに私に構っていたらしい。
「ははっ、終わらすのは骨が折れるな。」
「笑ってる場合ですか。 異常ですよ、この量。」
「そうは言ってもなぁ、笑っとかなきゃやってられん。」
会長補佐であるはずの私が、会長の足を引っ張っていた。 優しいからか会長は責めないけど、情けなくて仕方ない。 恩返しのつもりで入った生徒会なのに、お荷物になるなんてごめんだ。
「この辺の仕事、私がやりますね。」
「おい、それじゃあほとんどじゃねぇか。」
「あ、会長のサインがいるのとかはちゃんと渡しますので気にしないでください。」
「いや、そういう意味じゃなくて、」
「さ、やりますよ。」
困ったような申し訳なさそうな、そんな顔をする会長を無視して作業を始める。 とりあえず、会長にしかできない仕事と私にでもできる仕事にわけて、っと。
地味で単純な作業は、他の人にしたらつまらないものかもしれないけど、私は意外と好きで。 会長の、誰かのためにならもっとがんばれた。
おかしいよね、誰よりも他人と交わるのが怖いのに、もしかしたら誰よりも他人に求められたかったのかもしれない。 そう、思えるようになった。
私がこの世に生きていたんだという証。 それを残したいと、私は思ってるのだろうか。 自分のことなのにわからなくて、真っ白な画用紙が汚れていくような、そんな気分だった。
(「すげぇ集中力。」) (「感心してないで、会長もちゃんと手を動かしてください。」) (「わーってるよ、こいつがこんなにがんばってるんだしな。」) (「(会長のやる気スイッチとやらを見付けた気がしますね。)」)
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