「……広すぎでしょ、ここ。」
地図を片手に右往左往。 全く、体育館くらいもっとわかりやすい位置にすればいいのに。
「はぁ、もういいや。 めんどくさいしサボろっか。」
「なんだって?」
周りをきょろきょろ眺めても、地図をくるくる回してもわからないし、入学式なんてでなくてもいっか。 そう思って呟いた私の声に誰かの返事。 びっくりして振り向いたら、所謂イケメン、って感じの人が呆れた顔で立っていた。 なんなの、この人。
「お前、例の西洋占星術科の女子生徒だよな?」
「どの私か知りませんけど、私以外に今年の女子はいないらしいですし、そうなんじゃありませんか?」
こっちに近付きながらそう言う彼は、ネクタイの色からして上級生。 残念ながら何年が何色かは知らないから、2年なのか3年なのかはわからないけど。
「お前、生徒会に興味あるか?」
「ありませんね。」
「おま、もっと悩むとかないのか?」
ニッと笑いながら言う先輩に、スパッと切りかかる。 それにしても、突然すぎやしないか? なんて、きっと通じないけどね。
「ま、とにかく今はこっちこい。」
「わっ、引っ張らないでください。」
「引っ張らなかったらサボるんだろ?」
私の手首を掴んだと思ったら、ずんずん歩いていく先輩。 私が非難の声をあげたら振り向き、またニッと笑ってそんなことを言う。 なんなんだ、この人。
(「おら、体育館。」) (「あ、ありがとうございます。」) (「おぅ。」)
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