「おっはよー、一樹ー」
「……桜士郎。」
朝、結局あんまり寝れずに渋々登校すれば、桜士郎に会った。 ……こいつなら、何か知ってるんだろうか。 疲れた頭はそんなことまで考えだすから厄介だ。
「くひひっ、ヒドい顔だなぁー……柚希ちゃんにフラれた?」
「るっせぇ、ほっとけ」
「え、ほんとに? くひひ、大スクープの予感っ!」
あぁ、ダメだ。 いつものやり取りでさえイライラする。 落ち着け、大人になるんだ、俺。
「あ、噂をすればなんとやら……おーい、柚希ちゃーん!」
「あ、桜士郎先輩、おはようございます。」
「俺は無視か。」
「会長いたんですか、おはようございます。」
……なんだこいつ。 昨日のかわいさはどこに行ったんだ! 父ちゃん悲しい!
「くひひ、柚希ちゃん一樹フったんだって?」
「え?」
「やっぱりオヤジはイヤなのー?」
「いや、私、会長フってませんよ?」
俺が1人嘆いているうちに会話が進んでいて、柚希の言葉に桜士郎の動きがとまる。 イヤな予感しかしない。
「と、いうことは……付き合ってるの?!」
「え?」
「こうしてられない! じゃあ俺はこの辺で!」
「え、あの……桜士郎先輩?」
よくわからん自己完結をしたらしい桜士郎は、そんな言葉を残して去って行った。 俺と柚希が付き合ってるだなんて記事がでかでかと1面を飾ったのは、数日後のことだ。
(「そういえば会長。」) (「なんだ?」) (「私のこと、好きなんですか?」) (「ブフッ!」) (「わっ!」) (「わ、悪ぃ……、」) (「いえ、別に。」)
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