「あ、不知火先輩!」
「お?」
柚希を送ってから自分の寮に戻ってる途中、七海に会った。 あの事件以来会ってないのに、こいつは今でも俺を慕ってるらしく無邪気な笑顔で俺に近付く。
「どうしたんだ、こんな夜に。」
「課題に行こうかと思ったんスけど、やる気出なくて今帰りっス!」
「そうか、……ていうか課題くらいしっかりやれよ?」
「うっ……わかってるっス!」
そんな会話をしながら一緒に帰路に着く。 確かこいつは今も病気が治ってないらしいし今日も体調悪いって聞いてたが、こうして出歩いて大丈夫なのか? まぁすんなりくたばる玉じゃないが。
「そういえば、先輩。」
「あ?」
「生徒会にいる柚希、あいつって普段どんなヤツなんスか?」
「は、柚希?」
まさか七海から柚希の名前が出てくるとは思わなくて、思わず素っ頓狂な顔をしてしまった。 柚希は西洋占星術科だし七海は天文科。 こいつらに共通点なんかないはずなのに、なんで呼び捨てなんだ?
「先輩?」
「あ、あぁ……あいつは掴み所ないしちぐはぐだな…わからないことが多すぎる。 それにしても、いきなりこんなん聞くなんてどうしたんだ?」
「いや、前からわからないヤツだったんスけど今日ちょっと話して余計にわからなくて……先輩から見てどんなヤツなんだろうって思って。」
そう言って笑う七海。 今日、柚希となにかあったのか? もしかして今日の柚希の機嫌がよかった理由がこいつにあるのか? それに今日、俺に甘えたのもこいつとなにかあったからなのか?
「先輩?」
「お前、柚希となにかあったのか?」
「え、なっ、なにもないっスよ?」
立ち止まってそう問えばあからさまに動揺する七海。 なにか、あったんだな。
(「言え、って言っても言わないよな?」) (「…………。」) (「はぁ、まぁいい。」)
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