「哉太、探してたんですよ!」
「七海くん? ケンカかサボりじゃないの?」
月子ちゃんの言葉にそう返せば、悲しそうな顔をされてしまった。 あれ、失言だった? でも七海くんって言っちゃあアレだけど、大人しく授業を受けてるような人には見えない。
「哉太は……小さい頃から病気を患ってて、」
「あぁ……そっか。」
俯いて答える月子ちゃんの言葉を途中で遮る。 そっか、程度はどうあれ七海くんは私と一緒だったのか。 そう思ったのと同時に、なんだか七海くんが羨ましくなった。 病気を知っていながら、心配はすれど月子ちゃんも東月くんも七海くんの普通の“幼なじみ”だったから。
まぁ私も「あの子に近付くと病気が移る」なんてこと言われたわけじゃなかったけど、“いずれいなくなる存在”として、いついなくなってもいいように表面的な付き合いをするか、同情して変に優しくする人たちばかりだったから。
「柚希ちゃん?」
「あ……えと、なに?」
「ううん、ぼーっとしてたから……哉太のことなら、気にしなくてもいいよ?哉太も病人扱いされるの嫌がってるし。」
「うん、わかった。」
首を傾げてそう言う月子ちゃんに曖昧に笑って答える。 ぐるぐる頭の中を回る羨望と嫉妬を隠して。
(「あ、じゃあ私、また哉太探してくるね!」) (「うん、私も見かけたら言うね。」) (「ありがとう!……失礼します。」)
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