頭がぼーっとする、しんどい。
いつもよりヒドい症状に内心舌打ちをする。 薬、ちゃんと飲んでるのに……そろそろ、効果が薄れてきたのかな? 病院、行きたくないな。
「吉岡。」
「あ、琥太郎ちゃん」
「何度も言ってるが、星月先生と呼びなさい。」
いきなり声をかけられてびっくりして振り向けば保健医の琥太郎ちゃんがいた。 病気持ちな私は入学前から琥太郎ちゃんと会っていて、私も不便なく学園生活を送れるようにいろいろサポートしてもらってる。 先生らしくないその態度と、理事長である琥春さんとの話が相俟って“琥太郎ちゃん”と呼んでるんだけど、本人には他の生徒に示しがつかないと言って呆れられてしまっている。 でも、もう琥太郎ちゃんで定着しちゃったせいで今さら直す気にはなれない。 それを知ってるからか、深くため息をつかれてしまった。
「まぁいい……それより保健室に来なさい。」
「はぁい。」
「まったく、そんなにあっさり頷くくらいなら初めから来い。」
呆れながらも私の歩くペースに合わせてくれる琥太郎ちゃんに、思わず笑みがこぼれていた。 なんだかんだ優しいんだよね、琥太郎ちゃん。
(「次の休みにでも、ちゃんと病院に行け。」) (「えー、イヤです。」) (「あのなぁ、」) (「冗談ですよ、わかりました。」) (「……大丈夫だよ。」) (「え?」) (「お前は何も怖がらなくていい。お前の不安くらい、俺がなんとかしてやるよ。」) (「ふふ、彼氏みたいですね。」) (「お前にそういうヤツができるまで、俺がかわりになってやるよ。」) (「それはそれは心強いですね。」) (「大人を茶化すな。」)
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