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「あ、柚希さん。」

「颯斗くん。」


廊下を歩いていると、颯斗くんとばったり。
こうして生徒会室以外で彼をみるなんて、びっくりした。


「最近、顔色が悪くないですか?」

「え、そうかな?」

「はい、それに心なしかしんどそうですし……体調が優れないなら休んでくださいね?」


心配そうな顔をする颯斗くんに、内心焦った。
確かに最近、病気のせいか体調がよくない。
でも、今までこんなこといっぱいあったし、その度に親ですらダマせてきたのに。
だからといってバレるわけにいかないから、不自然じゃない笑顔を貼り付ける。


「ほんとに大丈夫だよ、心配ありがとう。」

「……ほんとですか?」

「ほんと、ほんと。」


私が譲らないとわかったのか、仕方ないと言った感じに引き下がってくれた颯斗くん。
それから、なんだかずっと話してたら見透かされそうで「じゃあ次、移動教室だから」と言って、その場を逃げるように去った。

まさか、私の不調に気付いた人がもう1人いたなんて、しかもこの会話を聞いてたなんて、夢にも思わなかった。





(「……盗み聞きは、感心しませんね。」)
(「たまたま聞こえたんだから、盗み聞きじゃねぇよ。」)
(「屁理屈です。」)
(「あーあー……それよりも、だ。」)
(「わかってますよ……倒れたりしなきゃいいのですが。」)
(「ったく、俺たちにちゃんと話してくれりゃあいいのにな。」)
(「彼女にも色々あるんでしょう……彼女から話してもらえるまで待ちましょう。」)
(「……だな。」)




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