「柚希ちゃーん!」
昼休みの西洋占星術科の教室にて、綺麗なソプラノが響いた。 言わずもがな麗しの月子ちゃんの声だ。 その後ろには心なしか楽しそうな七海くんの姿。
「わざわざごめんね、ありがとう。」
「こっちのわがまま聞いてもらってるんだから、気にしないで!」
「そうだぞ、それにこれくらいどってことねぇしな!」
「そういうこと!」
笑顔でそう言ってくれる2人が眩しくて、でもあったかい。 私もつられて笑えば、月子ちゃんに抱きつかれ、七海くんに頭を撫でられた。
「ふ、2人とも…!」
「柚希ちゃんかわいい! いつも笑ってたらいいのに!」
「確かにな!」
「あ、哉太が素直に褒めてる。」
「うっせ!」
月子ちゃんの言葉に、顔を赤く染める七海くん。 へぇ、照れ屋さんなのかな?
「と、とにかく! はやく行こうぜ、錫也が待ってる!」
「あ、ほんとだ!」
「う……ちょっと緊張しちゃうな…。」
2人を見る限り悪い人には思えないとは言え、やはり初対面の人と会うのは緊張してしまう。 そんな私を見て、月子ちゃんは私の手を握ってくれて、七海くんはわしゃわしゃと頭を撫でてくれた。
「大丈夫、錫也は悪いヤツじゃねぇよ。」
「そうそう、面倒見がよくて、まるで、」
「「お母さん(オカン)みたいな?」」
「…………。」
……あれ、今から会う幼なじみって男子だよね? まぁ変とは言わないけどいいのか?それで。
(「っくしゅん!……あいつら、何か余計なこと言ったのか…?」)
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