「楽しそうですね。」
「あ、颯斗くん。 えっと、そうみえる?」
「はい、とても。」
放課後。 会長の呼び出しにより、生徒会室に来て部活でいない月子ちゃんの分の仕事をしていると、向かいに座っていた颯斗くんに笑顔でそう言われた。 わ、私そんなに顔に出てたのかな?
「じ、実はね?」
「はい。」
「その、明日、月子ちゃんとその幼なじみとお昼食べる約束したの。」
「なにっ?!」
「わっ、会長驚かせないでください!」
さっきまで寝ていた会長はガバッと体を起こして私をみる。 話を盗み聞いてるなら、手を動かしてはやく仕事終わらせればいいのに。 ばくばく高鳴る心臓を押さえて、心の中でそう悪態をついた。
「ほんとか?」
「え、あぁ、はい。」
「ふふふ、よかったですね、柚希さん。」
会長の問いに答えたらふんわり笑う颯斗くんに、私も笑い返す。 それを見て、ガタリと音を立てたのは言わずもがな会長。 なんなんだ、さっきからほんとに。
「柚希、が……笑った、だと…?」
「会長ってすっごく失礼ですよね。」
「柚希さん、会長のことは気にしなくていいと思いますよ?」
「おい、颯斗!」
そのままの感想を述べただけなのに、颯斗くんに食ってかかる会長だったけど、颯斗くんの笑顔に怯んで椅子に座りなおした。 うん、私もそれが賢明な判断だと思うよ。
(「会長は、こんなことよりはやく仕事終わらせた方がいいんじゃないですか?」) (「そうですよ、そんなに黒板の音が聞きたいと言うのなら、聞かせてあげますけど?」) (「俺が悪かった、だからそのミニ黒板をしまってくれ!」)
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