会長とお茶を飲みながら仕事について話していると、ドアが開いた。
「こんにち……あれ?」
「おー、月子!」
「会長、この子もしかして、」
長い髪を揺らして入ってきた女の子は、会長に声をかける。 この学園にきて、初めてみる私以外の女子生徒、確か夜久さん、だっけ? 先生がそう言ってた気がする。
「今日から生徒会メンバーになる吉岡……あー、いや柚希だ。」
「初めまして! 私、天文科の夜久月子っていうの!」
「あ、よろしく、」
会長がいきなり下の名前で呼んだから、少しびっくりした。 それと、私の手を握って自己紹介をする夜久さんにも。
「言い忘れてたが、生徒会では下の名前で呼び合うのがルールだ!」
「え? じゃ、じゃあ……月子、ちゃん?」
「うん、よろしく柚希ちゃん!」
「うんうん、お前らは学園でたった2人しかいない女子なんだ、仲良くしろよ。」
私たちの様子を見た会長が、手を組み、しみじみと頭を縦に振る様はお父さんみたいだった。 いや、失礼だから言わないけど。 そんなことを考えていると、またドアが開いた。
「今日はなにやら賑やかですね。」
「颯斗くん!」
「おぅ、颯斗か!」
「すみません、遅くなりました。」
入ってきたのはピンクの髪が印象的な男子生徒。 どうやら彼も生徒会メンバーらしい。
「そちらの方は?」
「柚希ちゃん!」
「新しい生徒会メンバーだ!」
「そうですか……僕は青空颯斗、あなたは?」
「あ、吉岡柚希です。」
「よろしくお願いしますね。」
柔らかな微笑を浮かべる颯斗くん、と握手する。 なんか、気品が漂ってるよ。
「ま、全員そろったところでだ! 俺はみんな知ってる通り生徒会長様だ!」
「………。」
「やめろ、そんな冷たい目で見るな柚希。」
「ふふ、それから私は書記をしてるの。」
「それと僕は副会長をしています。」
「あー、2人ともそれっぽい、納得。」
うん、まぁ月子ちゃんの場合は、会計でもアリな気がするけど。 颯斗くんは副会長な感じがする、すごい納得。
「あなたはまだ空いてる会計ですか?」
「あ、いや、私は、」
「会長補佐だ!」
「……だそうです。」
私が言う前に会長がふんぞり返りながら言う。 しばらくびっくりしたのか何も言わなかった2人だけど、我に返ったときに会長に詰め寄ったのは記憶に新しい。
(「なんで会長補佐なんですか!」) (「そうです、会計にすればいいでしょう?」) (「これはこいつの希望なんだよ!」) (「確かに雑用か補佐、とは言いましたが“会長補佐”とは誰も言ってませんよ。」) (「じゃあ書記補佐にしてください!」) (「書記に補佐なんていらんだろ!」) (「なら会長補佐もいりませんよね、副会長の僕がいますし。」) (「うるさい!これは会長命令だ!」) (「(横暴だな……。)」)
- 1 - *PREV|NEXT#
|