「で、どうしたんだ?」
「あ、えっと、」
焙じ茶を差し出し、いきなり本題を聞き出す会長に頭をしっかり働かせようとがんばる。 まだ、何て言うか決まってなかったから、何も出てこない。
「吉岡?」
「えと、あー……その、今日はお礼、にきたのですよ。」
「礼?」
不思議そうにきょとんとする会長。 私はなんだか恥ずかしくなって俯く。 ちゃんと言わないとダメなのに。
「何の礼だ?」
「あ、昨日の、」
「昨日?」
「牽制、してくれた、から、平和に、過ごせた、ので。」
たどたどしくではあるけど、会長のおかげでちゃんと言えた。 聞き上手、だよね、会長って。
「別にそれくらい、礼言われるほどのことでもないぞ?」
「でも、助かったので、恩返ししよう、かと。」
「大袈裟だな、お前。」
そう言って、豪快に笑う会長。 伸ばされた手は、笑い声くらい豪快に私の頭を撫でる。
「か、会長!」
「ははっ、髪ボサボサだな。」
「会長のせいです!」
がんばって会長の手をどけて、ボサボサになった髪を整える。 別に毎朝がんばってセットしてる、とかじゃないからいいけど、そうじゃなかったら悲惨だなぁ、これ。
「ま、とにかくだ。」
「はい?」
「こんなほとんど男だらけの学園なんだ、俺は吉岡の味方だから何かあったら俺を頼れ、な?」
「会長、」
「ま、お前が生徒会に入ってくれると仕事の量減るし守りやすいしで1番いいんだけど、何回も言うがムリにはしたくないしな。」
また、今度はさっきよりも優しめに頭を撫でられた。 会長は私に生徒会、入ってもらいたい、のかな?
「……私、生徒会入ってもいいですよ。」
「ほんとか?!」
「はい、ただ……雑用とか補佐とかでなら、ですけど。」
「わかった、ほんとは会計してもらいたかったんだが、仕方ない。 お前は会長補佐だ。」
よろしくな、って言って手を差し出す会長。 私のわがままな要望に答えてくれる懐の大きさにちょっと感動。 さりげなく、自分の補佐にした辺りはちゃっかりしてると思うけど。
(「ところで、何で正規の役員はイヤなんだ?」) (「私、自分でするより誰かの手助けの方が得意なんですよ。」) (「そういうもんか?」) (「はい、そういうもんです。」)
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