「いい度胸ですね?」
思ったよりも低い声が出て、びくりと肩を揺らす名前。 まったく、言うことを聞いてくれない困った方にはお仕置きが必要かもしれませんね。
「あ、あの?」
「なんです?」
「えと、とりあえず黒板おろさない? やっぱりここは話し合いでさ、」
「問答無用、です。」
今の僕は黒い微笑み、もしくは満面の笑みを浮かべてるのでしょう。 名前の顔がものすごく引き攣っていておもしろいです。
「っ、颯斗の鬼…!」
「ふふ、まだ聞き足りないのですか? 仕方ありませんね、ではもう一曲、」
「ごめんなさいっ!」
ガッと僕の黒板を持っている方の手に泣きながら抱きつく名前が、大変かわいらしくて。 思わず黒板に伸ばそうとした手を引っ込めてしまった。
「あなたがいけないのですよ?」
「……そんなこと言っても、」
「名前?」
「……ごめんなさい。」
しゅん、と小さくなった名前の体を抱きしめる。 すっぽりとおさまる名前にじんわりと愛しさを感じた。
「お願いですから、あなたはもう少し数少ない女の人だということを自覚してください。」
「じ、自覚くらい、ちゃんとしてるよ!」
「してません。」
名前の言葉をスパッと一刀両断。 そんな僕の態度に、名前は不服そうな反応を示した。 でも、これは譲れませんよ。
「ほんとは、あなたをどこかに攫ってやりたいくらいなのですよ。」
「え?」
「こんなにあなたに溺れてしまう人もいるのですから、……もう少し、僕の話に耳を傾けてください。」
さっきよりも力を込めて抱きしめる。 痛いくらいの力だというのに、名前はクスクス笑って抱きしめ返してくれて。 やっぱり僕は一生名前を離すことなんてできないな、と再認識しました。
狂おしい愛情 (「でも、そんな酔狂な人は颯斗しかいないよ。」) (「そんなの、わからないじゃないですか。」)
*42000hitを踏んだ榛野さまに捧げます。
ゆるい、のか……甘い、のか…。 すみません、書き直しはいつでも受け付けますので!
榛野さまのみお持ち帰りください。
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