「何やってんの。」
「木ノ瀬先輩だぁー。」
移動教室の帰り道。 ふと外を見ると名前が地面に座り込んで空を見上げてたから来てみた。 ちなみに次は昼休みだし問題ない。
「ちょっと空を見てたんですよぅー。」
「いや、それはわかるから。」
間延びした声で少しズレた答えを返す名前。 相変わらず掴めないヤツだ。
「僕が聞いたのは、なんでそんなことしてるのかってこと。」
「あぁ、そうならそうと言ってくださいよー。」
「初めからそう言ってたよ。」
「木ノ瀬先輩はわかりにくいんですぅー。」
クスクス笑いながら言う名前は、スッと僕から視線をそらすとまた空を見上げる。 僕もそれに習って見上げた。
「なんでですかねぇ……寂しいと空を見上げるんです。」
「へぇ、名前は今、寂しいんだ?」
言葉を選ぶように、ただでさえ遅いのにいつもよりゆっくり紡ぐ言葉に、名前の気持ちが込められてる気がした。 だから、しゃがんで名前と同じ高さになって問いかける。 するとこっちを向いた名前がへにゃりと笑った。
「まだ続きがあるんですよー、木ノ瀬先輩はせっかちさんですねぇ。」
「悪かったね、で? 早く続きを言いなよ。」
「それはですねぇ、」
内緒話をするみたいに、口に手を添えて僕の耳元に口を近付けた名前。 とりあえず僕も名前の方に耳を傾けた。
「こうして空を見てるとき、必ず木ノ瀬先輩がきてくれるんです。 だから、木ノ瀬先輩に会いたくなったらこうして空を見るんですよ。」
「え?」
そう聞こえたと同時に頬に柔らかい感触。 ふんわり香る甘い名前の匂いに、くらりとした。
「じゃあ木ノ瀬先輩、私は食堂でご飯食べてきますねぇー。」
「え、なっ…!」
「失礼しますー。」
ペこりと頭を下げると、僕の言葉にならない声をスルーしてとたとた走っていく名前。 とにかく、まずこの赤い頬をどうにかしよう。
無邪気な君 (「ぬ? 梓?」) (「あぁ、なに?」) (「さっき、ちみっこいのが嬉しそうにスキップしてたけど、なんかあったのか?」) (「……いや、別に。」)
*相互記念で、あおいちゃんに捧げます。
なんていうか……ヒロインがただ自由奔放なだけに…。 書き直しはいつでも受け付けてますので!
あおいちゃんのみお持ち帰りください。
相互、ありがとうございます!
- 1 - *PREV|NEXT#
|