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どんなにキレイな顔をしていたって、颯斗くんは男の人なんだ。
そう実感する度、どきどきと高鳴る胸に苦笑する。


「それにしても、どうしてこんな重いものを1人で?」

「先生が、日直が運んでくれって言ったので…。」


隣を歩く颯斗くんが、そう不思議そうに尋ねたから、苦笑いをこぼしながら答える。
すると、そうですかと言ったきり黙り込む颯斗くん。
それだけなのに不安になって、そっと顔を覗けば難しい顔の颯斗くんがいて。


「颯斗くん?」

「……もし、」


足を止めた颯斗くんにつられるように私も立ち止まれば、小さく、でもはっきりと言葉を紡ぐ颯斗くん。
まっすぐに私を見据えた目に、そらすことなんてできない。
少し緊張感を孕んだ空気に圧倒された私とは違い、ゆっくりと颯斗くんの口が動いた。


「もし、またこのようなことがあれば、僕に言ってください。」

「……え?」

「お願いします。」


どこか弱々し気に発されたそれは、どちらかと言えば懇願に似ていて。
口をぱくぱくさせても何も言葉が出なかったから、小さくそっと頷いた。




(「さ、行きましょうか。」)
(「あっ、ま、待ってください…!」)



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