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ただ居心地がよくて。
いつも、あまりにも自然に私の隣にいてくれる存在、それが颯斗くん。


「……………。」

「どうかしましたか?」

「あ、颯斗くん。」

「ふふ、もしかしてわからないところがあるんですか?」

「う……実は、そうなんです。」


困ってると、声をかけてくれて。


「僕にわかることなら、いくらでもお教えしますよ?」

「ほんとですか?
あの、わからないのってここなんですけど…。」

「あぁ、ここですか。
ここはですね…、」


そして、手を差し延べて引き上げてくれる。
そんな彼が私の1番になるのに、時間なんてかからなかった。

でも、私なんかに彼は釣り合わない。
それに、きっと男の人は月子ちゃんみたいなかわいらしい子の方が好き。
だから伝わらなくてもいいの。
例え想いが届かなかったとしても、当たり前のように隣にいてくれる今の方が、いい。

臆病な私は、そうやってズルい生き方しかできないの。





(「助かりましたっ、ほんとにありがとうございます!」)
(「ふふっ、これくらいお安いご用ですよ。」)




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