たまたま同い年で、同じ学校で、同じ学科で。 そんな偶然の中、同じく会長に勧誘されて生徒会に入って。 いつも一緒にいるようになって、気づけば目で追うようになって、巴さんが好きだと自覚して。
これほどの偶然が重なったのに、両想いになる確率なんて0に等しいのですから、やる瀬ない気持ちでいっぱいです。
「巴さん、少しよろしいですか?」
「あ、はい! なんでしょうか?」
「この書類をやっていただきたいのですが、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ、前の仕事はもう片付きそうですから!」
「すみません、助かります。」
ですが、こうして巴さんと同じ時間を共有できるのなら、それで。 そうして自分に言い聞かせる。
タイムリミットまで、あと1年強。 それまではこの、ゆるやかで曖昧な関係を紡いでいきたいと思うのは、僕のエゴでしょうか。
(「あ、これって会計の仕事ですね。」) (「すみません、期限までに翼くんは仕上げてくれなさそうなので…。」) (「ふふ、最近は発明の調子がいいみたいですからね。」) (「それで仕事をサボられるのですから、たまったものじゃありませんけどね。」) (「お疲れさまです、副会長さま。」) (「あなたもですよ、雑務のあなたがいてくれないとさすがに無理です。」)
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