「巴さん、」
「颯斗くん…! おはようございます。」
「おはようございます。 今日は少し曇っていて残念ですね。」
朝、颯斗くんと一緒に登校する。 何気ない道なのに、颯斗くんと2人で歩くと雰囲気が違う気がして頬が緩んでしまう。
「巴さん?」
「あ、いえ、なんでもないですよ?」
私の小さな仕草でも、ちゃんと見つけてくれる颯斗くん。 それが嬉しくて、また頬が緩む。
「頬が緩んでますよ、何かいいことがあったんですか?」
「いいこと……はい、ありましたよ?」
悪戯っ子になった気分。 まさか、颯斗くんと一緒にいれるのが嬉しい、だなんて……きっとバレない、はず。 ちょっと寂しい気もするけど、今はこの距離が心地好い。
「よければ、僕に聞かせてくれませんか?」
「ふふ……それは秘密、です。」
「……おや、それはそれは…。」
一瞬だけ、驚いた顔をしてからふわりと微笑む颯斗くん。 それにつられるように、私も笑う。 教室は、もうすぐそこ。
(「お先にどうぞ。」) (「わ、ありがとうございます……お先です。」) (「はい。 あ、その足元の段差に気をつけ、」) (「きゃっ?!」) (「っと……まったく、あなたはそそっかしいですね。」) (「……すみません。」)
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