「……ん、」
ぼやっとした意識がゆっくりと覚醒していく、何とも言えない感覚に包まれる。 私、何してたっけ…?
「気がついたのか。」
「ほ、星月先生?」
「気分はどうだ、桜木?」
ベッドの傍のイスに腰掛けて、ゆったりとした口調で問いかける星月先生。 それを他人事のように聞いていた私は、咄嗟に返事ができなかった。 まだ、頭がボーッとする。 それに気付いたのか、ぽんぽんと頭を撫でると「もう少しゆっくり休め」とだけ言って、どこか……って言ってもカーテンの向こうに行ってしまった。
起き上がる気にもなれないし、お言葉に甘えてもう少しゆっくりしようと思う。 その間に少しだけ状況整理。 私は何をしてたっけ?
仲睦まじい月子ちゃんと颯斗くんを見かけたんだっけ、確か。 それから月子ちゃん、颯斗くんの順番に会って……ダメだ、そこから曖昧だ。 じゃあそのときに倒れちゃったのかな? そうだとしたら私、なんて迷惑なことしちゃったんだろう……嫌われ、たり…なんて。
ぶるり。 自分で勝手に想像して怖くなった。 二人を見てるときに感じた、地面がぐらぐら揺れるような不安感、吐き気。 持て余した感情から逃げるように、布団を被り直して目をきつく閉じた。
(誰か、助けて。)
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