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「颯斗くん!」

「あぁ、月子さん。」


廊下を歩いていると、不意に月子さんに声をかけられた。
彼女の後ろを見ても東月くんや七海くんがいないので、何か生徒会関係の用事かと思う。


「颯斗くん1人?」

「はい、そうですが?」

「そうなんだ、犬飼くんと一緒のイメージがあったからなんか意外だなぁ!」


にこにこと笑顔を浮かべる月子さん。
取り分け用事があるようには見えなくて、尋ねてみればキョトンとした顔で一言。


「颯斗くんを見かけたから声かけただけだよ?」


女の人って、たまによくわからない。
そう思いながらも「そうですか」と笑顔を浮かべた。

それから少し話してから月子さんと別れる。
まさかこの場面を見て、勘違いする人がいたなんて、今の僕に知る由はない。





(「……。」)
(「お? 桜木?」)
(「い、犬飼くん…!」)
(「なんだよ、どうかしたのか?」)
(「な、何でもない、ですよ?」)



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