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「ぬ、美味いぞ!」

「そりゃどうも。」


心の作ったご飯を食べながら素直な感想を言えば、照れたような顔をしながら、ぶっきら棒な返事が返ってきた。
なんかその顔があまりにもかわいいから、イジメたくなる。
心はそれに気づいてるのか?
まぁ、気づいてないだろうけどな。


「ところで天羽くん。」

「ぬ?」

「君はいつまでここにいるの?」


照れを誤魔化すような態とらしい話のそらし方。
俺は口の中のものを飲み込んで心を見た。


「俺、帰り道わからないぞ?」

「え?」

「というか、何でここにいるのか知らないぞ!」


目が覚めたら心のベッドにいたんだから、当然って言ったら当然。
かと言って心が俺を連れてきたとも考えにくいし、原因なんてわからない。
ほんとはもっと焦るべきなんだろうけど、これはこれでおもしろいからな。
それに今はちょうど夏休みで学校はないし、課題だってもうとっくに終わらしたからそういう意味でも多少なら余裕だってある。

そんなことを考えてる間に心の眉間にシワが増えていく。
それからゆっくりと重い口を開いた。


「ちょっと待って、じゃあ天羽くん、行く宛てがない、ってこと?」

「ぬ? 何でだ?
心が置いてくれるんだろ?」


違うのか?って首を傾げて言えば、言葉に詰まる心。
こうなったらあと一押し。
心が折れるまでにそう時間はかからなかった。





(「……災難だ、」)
(「ぬ? 何か言ったか?」)
(「…言ってない。」)



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