「なぁなぁ、心ー。 俺、すごくお腹すいたぞー!」
そう言ってのしかかってきた天羽くん。 重い、重いよ、首痛い。 というか、なんでご飯を集られてるの私。
そう思ったらいちいち相手するのもめんどくさい。 というか、私は傷心中なんだ、目の前の天羽くんのせいで。 なら、ますます私が何かしてやる義理はないし、無視を決め込む。 そしたらなんと、奴は駄々っ子になりやがった。
「お腹すいたお腹すいたお腹すいたーっ!」
「えぇいうるさい!」
「心がご飯を用意しないからだぞ!」
「理不尽すぎる!」
なんだってこんな自由なんだ、こいつ! そんなことを考えた瞬間だった。
ムッとした天羽くんの手が私に伸びてきて。 反射で目をつむればグッと押されて背中に小さな衝撃。 背筋を嫌な汗が伝った。
「ご飯ないなら、心を食べるぞ!」
「な、」
不穏な言葉を放った天羽くんに抗議するべく目を開ければ、かなり近くまで近づいてる天羽くんの顔。 私が逃げようとすればそれを察知したのか近づくスピードが早まり、気づけば距離は0センチ。 ただ、今までと違ったのはそれが唇ではなく首筋にいったこと。
「うひゃあっ、くすぐった、」
「ぬー……色気がないのだ…」
「残念そうにするなら離して!」
「ご飯。」
「ーっ、わかったわよ!」
ヤケになって叫んだ言葉に、ニヤリと笑う天羽くん。 最後にちゅーをかまして「初めからそう言えばいいのだ!」なんてほざいた。
(「覚えてろよ…!)」 (「ぬ? 足りないのか?」) (「結構です!」)
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