一頻り私で遊んだ、彼。 今は楽しそうに何かいじってる。 私にはわからないものだから、きっと彼が持ってきたものだろう。 ていうか。
「………ねぇ、」
「ぬ?」
「君、誰なの?」
なんかいろいろあって忘れてたけど、彼のことを私は何一つ知らない。 別に、知りたいとかそんなんじゃない。 でもいつまでも“彼”とか“君”って呼ぶのもなぁって思っただけ、なんだけど。
「なになに? 心は俺のこと知りたいのか?」
「違います、断固否定します。」
「ぬははっ、照れなくてもいいんだぬーん!」
「わっ、やめて!」
変わった笑い方をしながら、髪の毛をぐちゃぐちゃにする彼。 別に寝起きだし、まだ髪をセットしたわけじゃないからいいんだけど、いやよくはないんだけど、って違う! とにかく、困るの!
「俺の名前は天羽翼。」
「翼、くん…?」
「2月3日生まれで水瓶座のAB型!」
「いや、それはどうでもい、」
「歳は15だぞ!」
「……え?」
「それからそれから!」
「ちょっと待って!」
え、今なんかすっごくおかしなことが聞こえたんだけど。 15歳?翼くんが?
「どうしたのだ?」
「え、何歳って?」
「だから、15歳!」
「はあああああああ?」
「なに、またちゅーしたいのか?」
「なんでそうな、」
「いっただきまーす!」
なんとも元気な声で、私の唇を貪る翼くん。 あー……15歳だもんね、そういうことに興味がある年頃だもんね、仕方ない仕方ない。 ただ、翼くんのキスに溺れそうになってるのが悔しいけど。
(「キスの途中で考え事なんて、余裕なんだな?」) (「滅相もないです!」)
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