「あ、天羽さん!」
「え…?」
廊下を歩いていると、ここでは珍しい高い声が私を呼んだ。 振り向けば、長い髪を揺らしてこっちに走ってくるかわいい女の子。 スカーフ?の色が赤色ってことは2年生? そこまできて、ようやくこの学園のもう1人の女子生徒のことを思い出した。
「やっと会えた…!」
「あ、すみません…。」
「いいのいいの! 私もいろいろ忙しかったから!」
少し息を切らせている先輩に謝れば、にこりと笑ってくれて。 それからスッと手を出されたのでそれを握って握手をした。
「私は2年天文科の夜久月子! あなたのお兄さんと同じで生徒会なの!」
「夜久先輩ですね、私は天羽司です。 どうも兄がお世話になってます。」
私がそう言えば、固まる夜久先輩。 あれ、何かおかしかったかな?って言った言葉を思い返しても特に思い当たらなくて。 不安になりながら夜久先輩の名前を呼べば、慌てた様子の先輩。 彼女の口から飛び出した言葉に思わず絶句してしまった。
「ご、ごめんねっ、翼くんがかなり砕けた子だから、天羽さんもそうなのかなって思ってて…!」
……何やってるの、お兄。
(「あ、私のこと、下の名前でいいよ!」) (「じゃあ……月子先輩でいいですか?」) (「うんっ! あ、あのねっ、」) (「ふふ、呼びやすい呼び方でいいですよ?」) (「じゃあ司ちゃん! これからよろしくね!」) (「こちらこそ、よろしくお願いします。」)
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