なんていうか、それなりに覚悟してたつもりだったんだけど……ほぼ男子校をナメてました。
「梓、お兄っ…!」
「大丈夫、僕たちがいるから落ち着いて。」
「うぬ、俺たちが守ってやるぞ!」
梓とお兄が迎えにきてくれなかったら、どうなってたんだろうか。 そう思うほど、ヒドかった。
「おい、お前司ちゃんの何なんだよ!」
「はやく司ちゃんから離れろ!」
男子の群れが怖いと思ったのは初めてだった。 というか、何で見ず知らずの人に名前を馴れ馴れしく呼ばれてるの。 そんな私の気持ちに気付くはずもなく、男子たちはどんどんヒートアップしていく。
「待て、おっきい方は確か司ちゃんのお兄さまだったぞ!」
「なに! もしかしてあのぱっつんもなのか?!」
「いや、あいつは苗字が違うから違うだろ!」
「なら彼氏か?!」
「大丈夫だ、司ちゃんはフリーらしい!」
「よっしゃああああ!」
ぷちん。 私を庇うように前に立ってくれてる2人から、そんな音が聞こえた気がした。 あ、これはヤバいんじゃない?
「黙って聞いてれば、」
「好き勝手言って……」
「誰がちっさくてぱっつんだって?」
「誰のこと、お兄さまって言ったんだ?」
ぶっちゃけ、梓のことを小さいとかは誰も言ってないんだけどな。 まぁお兄と比べた時点でアウトだよね。 そう考えた瞬間だった。 伸びてきた手にグッと腕を引っ張られ、気づけば梓の腕の中。 お兄が隣でなんか言ってるのをスルーして、梓はその場を凍りつかせる爆弾を投下した。
「あと、司は僕と付き合ってるから。」
「え……っ!」
一瞬、何が何だかわからなくて。 ただ、ニヤリと笑って自分の唇を舐めた梓の顔を見つめた。
(「き、キス…?」) (「別にいいでしょ?」) (「いいわけないぞ! 何するんだ梓!」) (「別に、翼にはしてないでしょ。」) (「ぬぬぬ、そういう問題じゃないっ!」)
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