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「………。」

「………。」


初めこそ抵抗らしきものはしたけど、今はただ無言で梓に抱きしめられる。
逞しくなった腕とか、私とは違う匂いとか、周りと比べたらまだ低い方とはいえおっきな背。
じゃれ合っていても、こうしたときに「男の子」なんだって思い知らされる。
それが、堪らなく嫌だった。

私とお兄は双子。
いつだってまとわりつくその事実は、変わっていく周りの中で唯一変わらないこと。
男女の差があったとしても、私はお兄でお兄は私。

でも、梓は違う。
好きだし、大切な従兄。
だけど、確実にずっとそういうわけじゃない。
それはきっと、梓のことを信用しきれてないから。
いつか嫌いになるかもしれない、なんてくだらないことばかりが頭に浮かんでは消えていく。

好きだから、失いたくない。
大切だから、傍にいたい。

そう思うのが、家族愛やら友愛やらを越えてることに気づくのはまだ先の話。





(「(……そろそろ、理性がヤバいんだけどな…。)」)



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