最近、お兄が生徒会に入り浸ってるせいか、梓と2人の時間が増えた気がする。 いや、うん、そこは別にいいんだ、梓のことは好きだし、梓が私の隣にいてくれると安心できるから。
でも、梓と一緒の時間が増えて、少しだけ、胸がきゅうってするようになった。 梓の仕草ひとつひとつを目で追っちゃうし、梓が触れたところが熱くて、ぐるぐるする。 でも、嫌とかそんなのはなくて……よくわからない、不思議な感覚。
「あ、司、」
「えっ? ……わっ!」
「あっぶな……。」
考え事しながら歩いてたからか、目の前の柱に気づかなくて。 ぶつかる、って目を瞑った瞬間に引っ張られる感覚と抱きしめられる感覚。 それから、安堵したような梓の声。
「ったく、歩いてるときはしっかり前見なよ?」
「え、あ、う、うん……ごめんなさい…?」
状況にイマイチついていけず、疑問符を浮かべた感じになった私にぎゅっと抱きしめる力を強める梓。 それのおかげでようやく抱きしめられてることを理解して、体温があがった気がして。
「あ、あずっ、は、はな、はなっ、離し…!」
「ダーメ、まだ離してあげない。」
「こ、ここ廊下…っ!」
「大丈夫、人いないし?」
そういう問題じゃない、そう言ってやりたかったけど、ふと見た梓の顔があまりにも嬉しそうで、カッコよくて。 とりあえず梓の胸に顔を埋めた。
(「ははっ、積極的だなぁ。」) (「ち、ちがっ…!」)
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