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正直、今の西城が不安で仕方ない。
ほんとは泣きたいだろうに、それを悟らせないように笑顔を浮かべる様は見ていてツラいものがある。


「俺たちの前でくらい、弱みをみせてくれてもいいのにな。」

「それができたら、あいつもここまで苦労はしないだろう。」

「そーなんだけどさぁ……ちょっとだけ寂しい、よな。」

「………まぁ、な。」


だが所詮、俺たちはただのクラスメイト。
他の奴らより仲がいい自負はあるが、異性である俺らに弱みは見せない。

それが、俺らを信用してないからとかならまだいい。
いや、よくないが。
よくないけど、まだマシだ。
でも、あいつが俺らにあまり弱みを見せたりしないのは、きっと七海のためだ。

あいつ自身、七海が夜久と仲いいのをよく思ってないからこそ、七海に同じ思いをさせたくないんだと思う。
それを七海は知らない。
だからこそ、西城は1人で泣く。


「全く、あいつは不器用すぎるんだ。」

「え、副部長がそれを言う?」

「何が言いたい。」

「ひっ…!」


軽く睨むだけで引き攣った声を出す白鳥にため息を吐く。
とにかく、だ。
七海の気持ちがわからない今は、俺たちにできることは西城を傍で支えてやることくらいで。
それが、ヒドくもどかしい。


「七海は何考えてんだかなぁ。」

「まぁ、2人でいる分は仲よくやってるみたいだがな。」

「やっぱ夜久かー……あいつも悪いやつじゃないんだけどなぁ…。」

「西城の中で、夜久がいいとか悪いとかそんな話じゃないんだろ。」


問題は、七海。
それと夜久のこと。
西城がどうやって解決していくにしても、俺たちに出る幕はないだろう。





(「ただいまー」)
(「あ、おかえりー」)
(「随分長かったな。」)
(「龍くん、女の子は何事も時間かかるもんなんだよ?」)
(「む、そうなのか?」)
(「そうだよー」)
(「(……これって、つっこむとこか…?)」)




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