「待ちなよ。」
「……何よ、離して。」
隣を通り抜けようとしたら、意外にも土萌に腕を掴まれた。 向こうが私を嫌うみたいに、私も土萌が苦手だから正直なとこ不快極まりない。
「あのさ、別に僕は西城のこと嫌いだからどうでもいいんだけど。 でも、月子を傷付けるのは許さない。」
「何それ、別に私がどうしようが土萌たちには関係ないでしょ。 第一、なんで月子のために私が我慢する必要があるわけ?」
「っ!」
私の言葉に、月子の顔が歪んだ。 でもそんなの私には関係ない。 だいたい、私はこうなるとわかってたからなるべくお互いが嫌な思いをしないために帰ろうとしてたっていうのに。
「君、人としておかしいんじゃない? 西城のせいで月子がこんなに傷付いてるのに何も思わないわけ?」
「だから何? それに、それを言うなら土萌だって同じでしょ? こんなことして何になるって言うのよ。」
反吐が出るわ。 最後にそう言ってから無理矢理私の腕を掴んでた手を振り払う。 それから龍くんとやっくんに声をかけて食堂をあとにした。
(「大丈夫、か?」) (「え? 何が?」) (「今は何を言ってもムダだ、白鳥。」) (「でも、」) (「ふふっ、ほんとに大丈夫だから2人とも心配しないで?」)
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