「おい、西城。」
「え……あ、龍くん。」
「もう授業は終わってるぞ。」
「あ、ほんとだっ!」
ぼーっとしてたから、全然気付かなかった。 幸い、まだ黒板は消されてなかったから慌てて写してから片付ける。
「どうした?」
「なんでもないよ?」
「…………。」
きっと私がぼーっとしてた理由、龍くんはわかってるんだろうな。 だから私が笑えば、苦い顔してるんだと思う。 龍くん、優しいからね。
「なになに、弥生ちゃん悩み事?」
「わっ、やっくん!」
「俺も相談乗るよ?」
「やめとけ、お前が関わると西城の悩みの種が増える。」
「なっ、そんなことないぞ!」
「あるから言ってる。」
「ちょ、ちょっと…!」
いつの間にかやっくんと龍くんが言い争いを始めていて。 私が2人の中に入ろうとしても、聞く耳を持ってくれない。 こういうとこはちょっと困りものだけど。
「……ありがとう、2人とも。」
聞こえないようにそっと呟く。 こうやって私の傍にいてくれる2人に、私はずっと助けられてる。 ただ、ケンカはいただけないんだけどね。
(「だいたい白鳥はチャラすぎる。」) (「副部長だって見た目チャラいじゃんか!」) (「そっ、そんなことはない!」) (「(何の話してるの、この人たちは…。)」)
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