「わ、電話?」
いきなり鳴った電話に驚きつつ、相手を見ずに出た。 そしたら相手は意外すぎる人物で。
「もしも、」
『あぁ、弥生か?』
「え、かな……た…?」
携帯を落としそうになった。 なんで哉太が? なんで今? ていうか、電話、え?
『あー、お前、風呂は入ったか?』
「え……ま、まだ、だけど…?」
『よかった、じゃあちょっと下まで降りてこれるか? 今、職員寮の下にいるんだよ。』
「え?!」
びっくりして、とりあえず上着を羽織ってから鍵をきっちり閉めて外に出た。 ちなみに、通話はいつの間にか切れていた。
「っ、哉太!」
「よ、早かったな。」
「ば……バカじゃないのほんっとバ哉太!」
勢いでそう悪態をつく。 だって……バカでしょ、ほんとに。
「俺、お前に今、どうしても言いたいことがあるんだよ。」
「なによ。」
ついかわいくない口調で言ってしまった。 それでも哉太は気にしてないのか、そのまままっすぐ私を見つめる。
「俺は、お前が好きだ、弥生。」
「え…?」
「月子より誰より、お前を、お前だけを……っ愛してる。」
真っ赤な顔で、真剣に言う哉太。 もちろん、ウソついてる雰囲気でもない。 不意にぽろりと涙がこぼれて、それを皮切りに涙腺が崩壊。 頭の中がふわふわして、ぐちゃぐちゃだ。
「今さら、って思うかもしれねぇし、信じてもらえねぇかもしれねぇけど……本気で、本気で好きなんだ…小さい頃からずっと。」
「……ほんと、に…?」
震える声で呟けば、ぎゅっと抱きしめられて耳元で「んなとこでウソなんかつかねぇよ」と囁かれた。 ねぇ、信じていいの? 今度はちゃんと、私を見てくれる?
「もう、同じ過ちは二度としねぇよ。 だから、もう一度俺とやり直してくれ。」
その言葉を信じて静かに頷けば、そっと重なった唇。 初めて想いが通じ合った気がして、また涙がこぼれた。
(「悪ぃ……今度からはちゃんと言葉で伝えっからな。」) (「、うんっ…!」) (「だからお前も、ちゃんと伝えてくれ。」) (「わか、った…!」)
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