泣いて、泣いて、泣いて……その先にあるのって何なんだろう。
「……ね、龍くん。」
「む、なんだ?」
大事な部分を聞かされない龍くんが首を傾げるのは当然で。 なんでもない、って笑えば、そうか、って言って頭を撫でてくれる。
何も聞かないけど、話そうとすればしっかり聞いてくれて。 この距離が心地好くて甘えてしまう。
「その、なんだ、」
「ん?」
歯切れ悪く口を開く龍くんに、今度は私が首を傾げる番。 龍くんがこんな風に口籠もるなんて、珍しい。
「西城は、なんだ……青空と、その…付き合ってるのか?」
「え、颯斗くん?」
少し頬を染めて、視線をそらしながら言う龍くんにびっくりした。 ていうか、なんで颯斗くんなの? そんな私を見たのか、首を傾げながら「もしかして、違うのか?」と言う龍くん。
「うん、別に颯斗くんはいい友だちだよ?」
「む……西城、最近青空と仲がいいからくっついたのかと思っていた。」
「え、そんなに仲いい風に見える?」
そう言ってから、ハッとした。 今、哉太に申し訳ないって思ったけど、私たち、もう別れたんだっけ。 ダメだな、それなりに時間が経ったのに…。
「西城?」
「あ、ごめん、なんでもないよ。」
心配そうに私を見る龍くんに笑顔を返す。 しっかりしなきゃ、な。 言い訳、っていうか責任転嫁になるけど、かずくんの言葉が心を大きく揺さぶる。
でも、自分から手放したものを掴み直す勇気なんて、私には持ち合わせてないの。
(「はー……でも、颯斗くんと付き合えたら幸せかも、ね。」) (「む、そうなのか?」) (「うん、なんか大切にしてくれそうじゃない?」) (「…まぁ、確かに。」) (「でも、それだったら龍くんもだよね。」) (「なっ!」) (「ふふ、龍くん真っ赤だよ?」) (「か、からかうんじゃないっ!」)
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