ぼんやりと空を見てた。 あ……あの雲リスみてぇだな。
「かーなた!」
そんな声と共に俺の視界は月子で埋まる。 少し怒ったような、でもどこか楽しそうな月子に俺は笑っていた。
「ちょっともー、なんで笑うのよ!」
「なんでもねーよ。」
月子が隣に座ったおかげで再び空とご対面。 あ、さっきのリス雲なくなった。
「ねぇ、哉太。」
「ぁん?」
「いつになったら私、弥生ちゃんと仲よくできるのかなぁ…?」
「……さぁな、あいつ頑固だから。」
悲しげに笑う月子の頭を撫でながら答える。 前に一度、弥生に月子と仲よくしろって話したことがあった。 俺からすれば、惚れた女と大切な幼なじみが仲よくなるのは嬉しいことだからな。 のに、あいつは泣きそうな顔でこう言ったんだ。
“どうせ月子に頼まれたんでしょ?! なによ、そんなに月子が好きなら月子と付き合えばよかったじゃない!”
根は穏和で気さくなだけに、ちょっと驚いたのを覚えてる。 小さい頃から月子のことは何故か毛嫌いしてたっぽいのは知ってたけど、まさかあれほどとは思わなかったなー……。 別に女子が嫌いとか、(俺は弥生の方がかわいいと思うが)かわいい女子が嫌いとかではないみたいだから尚さら。
「ま、なるようになるだろ。」
もう一度、月子の頭をぐしゃぐしゃに撫でる。 いつか、和解してくれるといいけどな。
(「あ、授業!」) (「サボろーぜ、な?」) (「ダメ! 何のために私が来たと思ってるの!」)
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