弥生が帰ってしばらくしたくらいに、錫也の目が覚めた。 ぼんやりとした錫也は、自分がどうしてこうなったのかわからない、って顔をしている。
「錫也、倒れたんだよ? 覚えてない?」
「……倒れた…あぁ、だから保健室、か。」
「そういうこと。 まったく、なんで倒れるまで無茶したの?」
「多少はしんどかったけど、こんなにヒドいとは思ってなかったんだ。」
月子の言葉に、ようやく自分の状態を把握したのか、苦笑をもらす錫也。 羊の小さな怒りにも苦笑しながら答える。 まぁ何にせよ、元気そうで安心した。
「これ、お前らがしてくれたのか?」
「oui! 西城が指示を出してくれたんだ!」
「……なんだって…?」
「弥生ちゃんがいなかったら、私たちパニックのままだったよね。」
キャッキャと騒ぐ月子と羊。 それを少し険しい顔で見つめる錫也。 俺は1つため息をこぼして、月子と羊の方に向き直った。
「おい、俺が錫也みてるから、お前らで先生見つけて呼んでこいよ。」
「……わかった、月子行こう!」
「わっ、羊くん引っ張らないで!」
俺の言葉に何かを察した羊が月子を連れて保健室を出ていく。 よし、これで2人きりだな。
(「どうせ2人きりになるなら、月子とがよかったんだけど?」) (「バカ、俺だって弥生と2人の方がいい。」) (「ははっ、フラれたくせに。」) (「ぐっ………。」)
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