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錫也が熱を出した。
だから保健室に連れてったのに、相変わらず星月先生はいなくて。


「と、とりあえず寝かせておいて冷やすもの!」

「氷と冷たい水に浸したタオル、どっちがいいんだ?!」

「ね、ねぎがあればいいんだよね、確か!」

「バカ羊!
こんなとこにねぎなんかあるわけねぇだろ!」


いつも錫也がなんとかしてくれてたから、私たちはパニック状態で。
そんな私たちを、どうやら神さまは見捨てていなかったらしい。


「騒がしいと思えば……何してんの。」

「弥生!」

「西城!」

「弥生ちゃん!」


顰めっ面でドアの近くに立つ弥生ちゃんに、私たちは泣きついた。
ただでさえ嫌そうな顔がさらに嫌そうな顔にかわる。


「私、星月先生に用があるんだけど。」

「先生いなくて、それで錫也が熱出してっ…!」

「とにかく大変なんだよ助けてくれよ!」


哉太と2人で必死にお願いする。
関わるなって言われたけど、今頼れるのは弥生ちゃんしかいない。
それを弥生ちゃんもわかってるのか、渋々というか嫌々というか、まぁとにかくため息をついてから錫也の元に向かって。
それから的確な指示を出してくれた。





(「……ま、こんなもんでしょ。」)
(「錫也、だいぶ楽そうになったね。」)
(「ありがとな、弥生」)
(「別に、じゃあ私行くからあとは適当にがんばって。」)
(「弥生ちゃん、ほんとにありがとうっ!」)




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